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本文 〔判例概説〕  ここでは、九二年一〇月から九三年三月までの最近六か月間の憲法判例の動向について 「最新判例」の紹介に重点をおいて取り上げる。  h政教分離原則をめぐる判決があいついで出されたのがこの期の特色である。最高裁で は、箕面忠魂碑訴訟判決(九三・二・一六)と大阪地蔵像訴訟判決(九二・一一・一六┳ □判例)がある。第三小法廷は、忠魂碑につき、戦後は特定の宗教とのかかわりは希薄だ 、とし、碑の移設・再建への市の関与は目的が「世俗的」であり、慰霊祭への出席も「社 会的儀礼」で違憲ではないとした。おなじく長崎忠魂碑福岡高裁判決(九二・一二・一八 判時一四四四−五三)は、長崎地裁判決で違憲とされた唯一の碑についても「社会福祉上 の事業及び歴史的遺構ないし記念物の維持」にあたり「社会的意義を有する」とまでいい きっている。靖国神社への公式参拝が問題となった播磨靖国訴訟大阪高裁判決(九三・三 ・一八)は、住民の請求を棄却したが、その違憲性については判断しなかった。個人の信 仰の自由をめぐっては、エホバ進級拒否・退学処分事件第一審判決(九三・二・二二)が 論議の的になった。  i大嘗祭、日の丸、君が代についての判決もだされた。鹿児島地裁判決(九二・一〇・ 二┳□判例)は、知事の大嘗祭への参列だけを取りあげて「儀礼的行為」とする一方、国 の関与については憲法判断を回避した。大阪では納税者基本権を根拠に大嘗祭・即位の礼 への国費支出の差止めと違憲の確認、慰謝料請求をもとめたが、裁判所はいずれの請求も しりぞけた(九二・一一・二四)。京都君が代訴訟では「君が代」の内容の適否は司法判 断になじまない、と判示(九二・一一・四┳□判例)され、沖縄国体での「日の丸焼き捨 て」事件では被告を有罪としたが「国旗についてはなんら法律が存在せず」と述べている 判決部分が注目される(九三・三・二三)。  j憲法一三条に関連して修徳高校パーマ退学訴訟控訴審判決(九二・一〇・三〇判時一 四四三−三〇)では第一審判決を支持して、生徒の退学処分を適法とした。  k表現の自由にかんする判決では、都情報公開条例について警視庁の文書が非開示とさ れた事件で、最高裁第一小法廷は非開示決定の取消を命じた(九二・一二・一〇)のは最 高裁として情報公開についてのはじめての判決である。その他に、東京地裁判決(九二・ 一〇・一五┳□判例)また政治資金収支報告書のコピーを求めた事件で、第一審判決を逆 転させて請求を認めた大阪高裁判決(九二・一二・一八判時一四四八−四五)もある。教 科書検定第一次訴訟上告審判決(最三判九三・三・一六)は憲法二一条、二三条、二六条 にかかわって検定を合憲と判断し家永教科書にたいする検定には裁量権の範囲の逸脱はな かったと結論したが、国による検定の具体的内容を詳細に検討することなく「教科書の発 行=特殊な形態」論で、表現の自由・学問の自由の制限を肯定してしまっている。  l選挙権の平等をめぐっては、この期の唯一の最高裁大法廷判決である衆議院定数配分 違憲訴訟判決(九三・一・二〇┳□判例))が九〇年総選挙について較差一:三・一八を 「是正のための合理的期間内」を理由に違憲とはしなかったが、少数意見にみるべきもの がある。  m労働基本権では、人勧の全面凍結や「値切り」に抗議して行われた教職員組合のスト ライキにつき処分取消を求めた訴訟で、、熊本地裁は「代償措置としての人勧制度が機能 を失ってはいなかった」として組合の請求を棄却した(九二・一一・二六)が、大分地裁 は、人勧制度が本来の機能を発揮していない場合にはストも許容される、とほぼ正反対の 判決を言い渡した(九三・一・一九)。  n営業の自由については、酒類販売業免許制上告審判決(最三小判一九九二・一二・一 五)がある(┳□判例)。 地蔵像建立・移設のため、市有地の無償使用を認めた市の行為は、憲法二〇条三項、八九 条に違反しない。 県議選で特例選挙区を設けることは憲法に違反しないが、配当基数の三分の一を下回る場 合は認められない。 「君が代」の内容の適否は、国民の感性と良心にまかされ、その適否は、裁判所の司法判 断に適合しない。