英国の冤罪事件と救援活動をルポ
『ルポルタージュ 英国版 人権を
守る人々』(法律文化社・一九九五
年九月・二五〇〇円)
映画「父の祈りを」は、イギリス
の爆弾テロの容疑者の一人(いわゆ
るギルフォード・フォー)として逮
捕され、自白を強要されて、一審の
刑事裁判所判決で有罪(三〇年の懲
役)となったが、必死の弁護・支援
活動の結果、のちに無罪となったコ
ンロン父子のたたかいを描いたもの
で、話題となった。
日本の数々ある冤罪事件について
は、紹介する本は多いが、播磨信義
『ルポルタージュ 英国版 人権を
守る人々』(法律文化社・一九九五
年九月・二五〇〇円)は、このギル
フォード・フォー事件や爆弾事件の
犯人とされたバーミンガム・シック
ス事件、それにタミル人五人が殺人
容疑で裁かれたイースト・ハム事件
などイギリスの冤罪事件をくわしく
紹介している。
世界でもっともはやく権利章典を
成立させたイギリス、しかも市民警
察の制度が根づいているといわれて
いるこの国で、このような冤罪事件
が起きていることを教えられたこと
はショックだった。IRAの爆弾テ
ロ対策を主な理由とした「テロ防止
法」などによって、法の適正手続が
軽視されて、さまざまな人権侵害が
行われていることをこの本は教えて
くれる。昨今のわが国の「破防法」
の抱えている問題とも共通するよう
だ。
この本のもうひとつの特徴は、播
磨さんが、これまで書いてきた『仁
保事件救援運動史』や『憲法を生か
す努力』とおなじく「人権を守る」
実践的な活動に注目していることだ
。イギリス留学に際して、いろいろ
な冤罪事件の救援活動をしている団
体にでかけていって、知り合いにな
って、自らも支援に加わっていく。
その様子が、この本を通じて、いき
いきと伝わってくる。
実は、私も半年間イギリスに行く
ことになった。この本を参考にして
、人権を守り、生かすイギリスのた
たかいをこの目でじっくり見てこよ
うと思う。
(鹿児島大学・小栗 実)