15  裁判がなされるまで

 皆さんの中には、バイクや車の免許証をもっている人も多いと思う。その中には、

スピード違反で反則金を払った人もいるだろう。「反則金を納付した者は、通告の理

由となった行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付

されない」と法律には書いてある。しかし「オレは時速20kmオーバーなんてしていな

い」と不服に思った場合、あくまで自分が正当だったら、反則金を支払うことを拒否

して、裁判で無実を争えばよい。ただし、その場合、君は道路交通法違反の被疑者・

刑事被告人として裁判にのぞむことになる。

 普通、検察官はその被疑者を起訴するかしないかを判断する。不起訴になれば裁判

までいかない。本格的な裁判は、まず検察官による起訴によって始まる。検察官は、

君のスピード違反事件について、捜査にもとづいて起訴状を朗読する。それに対抗し

て、被告人としての君は、あくまで無罪を主張し争うことを宣言する。

 裁判はその後、証人尋問・証拠調べがすすむ。裁判官は、被告・検察双方からなさ

れる証人・証拠調べによって、君が本当にスピード違反をしていないか、検証する。

君の友人が「彼は制限速度ギリギリでちゃんと走ってました」と証言してくれるかも

しれない。反対に検察側の証人として、現場の警察官の登場だ。「このメーター記録

を見てください。時速20kmオーバーですよ」

 さいごに判決。裁判官はこれまでの訴訟のやりとりから有罪か無罪かを判断する。

「被告人・・は無罪」と判決の冒頭・主文で述べれば、君の勝ち。つづいて、なぜ無

罪になったか、理由が朗読される。反対に有罪となれば、君には刑罰が科される。以

上は刑事訴訟についてだったが、わが国の訴訟制度には、この他に、私人同士が争う

民事訴訟、行政庁の公権力の行使に関して争う行政事件訴訟がある。たとえば金の貸

し借り・損害賠償などの裁判は民事訴訟、行政庁のおこなった許可の取り消しなどの

裁判は行政事件訴訟で、訴えた側が原告、訴えられた側が被告となる。これら三つの

型の裁判に共通していることは、自分が不当に刑罰を受けたり、権利や利益を侵害さ

れた場合には、泣き寝入りしないで裁判であらそうことができるということだ。この

ことを日本国憲法は「裁判を受ける権利」(32条)と呼んで国民の権利にしている。

裁判はわたしたちにとっては決して縁遠いものではない。それは、まさに「権利のた

めの闘争」の一つの舞台である。