7 法律はどのようにしてつくられるのか?

 現代日本において、法律の果たしている役割は非常に大きい。人の生活は、誕生か

ら死亡までそれこそすべて法律によって規律されている、といってもよいくらいだ。

法律は人の権利・義務に深くかかわっているだけに、憲法では法律をつくる権限を国

民の代表機関である国会に与えている。「国会は__国の唯一の立法機関である」と

日本国憲法41条が定めているのはこのためである。内閣も裁判所も地方自治体も法律

を勝手につくることはできない。内閣がつくる政令、大蔵省など各省庁がつくる省令

、裁判所がつくる規則、地方議会がつくる条例、これらの規範は法律の内容に反する

ことはできない。

 法律をつくる手続きは国会法、そして衆議院・参議院それぞれの規則でこまかく定

められている。その特色はつぎのことにある。法案を提出するのは議員または内閣

である。議院内閣制をとるわが国では、大統領に法案提出権のないアメリカとは異な

って、内閣にも提案権があると考えられている。法案は衆議院・参議院の本会議で

可決されなくてはならない(両院制)。天皇は法律の公布をおこなうが、この仕事は

まったく形式的な行為で、天皇に実質的な権限はない。法案の実質的な審議は、現

在では、多くても数十名の議員からなる委員会でおこなわれる(委員会中心主義)。

 もうすこし実際に即して見てみよう、今日、法案はその大半が内閣によって提出さ

れる。法案は各省庁の官僚によってまず原案がつくられ、つぎに政権を支える与党内

で「根回し」がなされる。反対に与党のほうから官僚に働きかけがある場合もある。

各省庁間の調整とか与党内の調整が必要な場合には、各省庁の事務次官会議、与党の

党幹部によってまとめられ,最終的に閣議(大臣の会議)で法案が決定される。国会

で多数を占める政権党と官僚の合作でこのようにしてつくられる法案は、国会提出以

前に事実上ほとんど「法律」そのものになってしまう。内閣主導、政・官の癒着が日

本の立法過程の大きな特徴である。

 93年に自民党単独政権が倒れ、非自民政権、「自社さ」政権とくるくる交代して

以来、国会内では、「総与党化」といわれる現状がすすんだ。共産党をのぞいて、与

党と野党との間にあまり政策的な違いがなくなり、国会での論戦にあまり緊張感がな

くなった事態を指している。問題点をかかえた法案があまり審議されないで、可決さ

れてしまう現状は、議会制民主主義の観点からは大きな問題点をはらんでいる。