9 憲法と政党
国の政治であれ、地方の政治であれ、現代においては政党が果たしている役割は大
きい。政党とは政治的な主張をおなじくするひとたちの集合体=結社である。国民(
有権者)は選挙で国会議員・地方議員を選ぶが、その議員は普通いずれかの政党に属
しているから、実際には政党を選んでいることにもなる。また議員は国会内で政党と
してまとまって活動するから、国民(有権者)は政党をつうじて国政なり地方政治な
りに参加することになる。
憲法の歴史をふりかえると、はじめ、政党は敵視あるいは無視された。明治憲法の
下でも政府は当初、政党を攻撃したが、後に伊藤博文自ら政党を組織して、政府を担
った。大正デモクラシー期になると、政党によって内閣が組織される慣行が「憲政の
常道」になる。アジア・太平洋戦争中、政党はすべて解散させられた(自発的解散も
ふくむ)が、戦後、いろいろな政党が再建または新たに結成され、現在では大小さま
ざまな政党が活動している。政党間の対立・連合が日本の政治をうごかしている。
世界の憲法の中には、統一ドイツの憲法であるドイツ連邦共和国基本法のように、
政党について明記している場合もある。この憲法では、「たたかう民主制」といって、
「自由で民主的な基本秩序」に反する政党は禁止されている。政党を憲法で規律する
と、政党が憲法上明確な位置に立つ反面、どういう団体を正当な政党と認定するのか、
それを誰がおこなうのかなど、難しい問題も出てくる。
日本国憲法は政党について何も述べていない。ただ第21条が結社の自由にふれてい
るにすぎない、だからといって、政党の役割が憲法上意味がないと考えてはならない。
日本国憲法は政党について、ドイツとちがって、いかなる政党であれ、国民の自由な
政治活動に基づいて結成・運営の自由をもち、国民のさまざまな意思を政治に反映さ
せるべきだ、との考え方をとっている。「思想の自由市場」論と呼ばれる、この考え
方は、戦前の反省にもとづいて、さまざまな思想の共存を認める。
94年に「政党助成法」がつくられた。国から一定のお金を政党に提供し、その活
動を保障しようというのである。年間約300億円の公費が、得票や獲得議席に応じ
て配分されている。このような「政党法」ではますます大政党に有利に、少数政党に
不利にならないかが問題だ。政党が国に「寄生」するような事態になれば、議会制民
主主義は形骸化してしまうだろう。