女 性 の く ら し と 憲 法
1995年2月22日
「れんぎょう」クラブ学習会
鹿児島大学(憲法学)
小栗 実(85-8857)
1、今年はちょうど日清戦争100年(1893-1895 ) です。その前半5
0年(大日本帝国憲法)と後半50年(日本国憲法)との違い
┳きんさん、ぎんさんが答えた「一番幸せなこと」とは
2、大日本帝国憲法の下では女性の「人権」は保障されていなかった。
(1)平等権という考えそのものがなかった−「四民平等」といわれた
けれど。
(2)女性は、政治に参加することもできなかった。
選挙権・被選挙権はなし 1889 衆議院議員選挙法=制限選挙
直接国税15円以上の納税者に限る
1925 男子25歳以上の普通選挙権
政治的団体に参加することも許されなかった┳治安警察法
(3)女性の民法上の権利−「三従の教え」が法律の中身だった。
結婚には戸主の同意が必要(旧民法750条)
子が生まれないことを理由とする離婚も多かった。
相続は、まず「直系卑属」=子が相続、いない場合には、配偶
者に相続分(旧民法970条)、「親等の同じき者の間にあり
ては男を先にす」
(4)刑法にも、こんなバカな規定がありました。姦通罪(かんつう
ざい=現在はもちろんありません)
(5)教育も男女は別だて┳女性の高等教育機関(女子高等師範学校な
どに限られた)−−七高も男子だけ。
(5)なぜ女性は天皇になっちゃいけないの┳皇室典範で決まっていた
(現在でも、皇位継承については同じ規定です)
3、日本国憲法がつくられて、はじめて認められた女性の権利−人権は
性別にかかわりなく、すべての個人に保障される。
(1)選挙権(1945) ┳憲法44条
(2)性別による差別の禁止┳憲法14条
(3)家族生活における男女平等┳憲法24条
(4)教育基本法┳男女共学が原則
4、世界の流れはますます男女平等へ、それも実質的な平等へ
(1)女子差別撤廃条約(1985)
(2)男女雇用機会均等法(1985) _募集・採用における差別の禁止
_定年・退職における差別の禁止
_教育・研修における差別の禁止
_昇給・昇格における差別の禁止
問題点 (あ)企業の努力義務にとどまる
(い)「母性保護」規定の緩和
┳残業をふやす、夜中に働かせてもいい
(3)民法の改正が取り組まれようとしている。
_夫婦別姓┳結婚後の姓をどうするか。いまは法的には「どちら
かの姓を選択」、実際には圧倒的に男性の姓を名乗る。
_離婚における破綻主義の採用
有責配偶者からの離婚請求を認めるべきかどうか。
_再婚禁止期間の短縮
_結婚可能年齢を男女いっしょに(いまは男18歳、女16歳)
5、男女平等をおしすすめた力−「憲法をくらしの中に」
いくつかの女性差別撤廃訴訟でがんばった女性たち
大木かつ代さん┳名古屋テレビ30歳定年差別訴訟(名古屋高裁で
勝訴)
中本みよさん┳日産自動車定年男女差別訴訟(最高裁で勝訴)
山本和子さん┳三重県鈴鹿市昇格差別訴訟(最高裁で和解)
ここでくじけずにがんばった女性はえらい。そして、それを支えた人
々、憲法の定めた人権も支えに。こうして、すこしずつ日本の社会が
変わっていった。