いじめの裁判例をずっと読み通してきて、結論はこれしかない。
             「親は学校を信頼してはいけない。
             自らの力で途を切り開くように。
                 そして、信頼できる弁護士を見つけること。」
            これは、私が言っているのではない。裁判官たちが言外にそう言うのです。
              残念だけれど。今のところ学問の力はまだ弱いのです。
                      専門分野を超えて力を集めましょう。
                   いつか大きな流れになると思います。
                           
宮沢賢治「よだかの星」
        宮沢賢治全集第5巻(ちくま文庫)

冒頭:
  「よだかは、実にみにくい鳥です」

 よだかは、顔が〈みにくい〉というだけで仲間の鳥に毛嫌いされる。巣から落ちたメジロの雛を助けてやっても、お礼どころかあざ笑われる。
 鷹からは、名前を返せ、と迫られる。ついに鷹から、あさっての朝までに、市蔵と改名して、市蔵と書いた札を首にかけて鳥のうちを一軒ずつまわれ、さもないとつかみ殺すと脅される。

 追いつめられたよだかが飛ぶ。すると、口のなかに羽虫がはいってくる。
 たくさんの羽虫が毎晩自分に殺される。そして、今度は自分が鷹に殺される。
 よだかは、「遠くの遠くの空の向ふに行ってしまはう」と思い詰める。
 よだかは、美しい弟のカワセミに別れを告げる。「そして、お前もね、どうしてもとらなければならない時のほかはいたづらにお魚を取ったりしなやうにして呉れ。ね、さようなら。」

 よだかは、お日さまや星々に連れて行ってもらうようにお願いをする。しかしオリオン星も大犬も大熊座も天の川の星もてんで相手にしない。「星になるには、それ相応の身分でなくちゃいかん。」
 ついに、よだかは、ひとりでまっすぐ空へのぼっていく。そして、よだかは星になる。

 「よだかはのぼってのぼって行きました。・・・寒さにいきはむねに白く凍りました。空気がうすくなった為に、はねをそれはそれはせはしくうごかさなければなりませんでした。それだのに、ほしの大きさは、さっきと少しも変りません。つくいきはふいごのやうです。寒さや霜がまるで剣のやうによだかを刺しました。よだかははねがすっかりしびれてしまひました。そしてなみだぐんだ目をあげてもう一ぺんそらを見ました。さうです。これがよだかの最後でした。もうよだかは落ちてゐるのか、のぼってゐるのか、さかさになってゐるのか、上を向いてゐるのかも、わかりませんでした。ただこころもちはやすらかに、その血のついた大きなくちばしは、横にまがっては居ましたが、たしかに少しわらって居りました。
 それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。そして自分のからだがいま燐の火のやうな青い美しい光になって、しづかに燃えてゐるのを見ました。」

 末尾:
  「そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。今でもまだ燃えてゐます。」